エルガナ教会

トワ


2個


エルガナ教会:トワ
産まれたその時母親に先立たれ、教会エルガナに孤児として引き取られた。
神父ローザンは、教会に来た子供達のことを道具だとしか思ってはいなかった。
子供達は銃の扱いを習わされ、教会へ反抗する者を殺すために利用されてきたのだった。



1「なんで??さぁ、どうしてかしらね。
悪いのは神様だわ?私ばかりを不幸に突き落とした神様が憎いの。
けれど神様に罪はない。
きっと私の置かれた環境が悪かったの。
血塗られた教会。赤く薄汚れたステンドグラス。転がる死人(しびと)達。
"どうしてこうなったか"と聞いたわね?
それは私よりも貴方がよく知っているんじゃない?
ねぇ?ローザン神父?私は貴方を決して赦さない。」


2「私に両親はいない。
物心ついた時から此処にいた。
そして教えられたのは銃での戦闘方法。
"人を殺(あや)める事を恐れるな"
"神に逆らう事こそ一番の悪である"
そう教えられてきたわ。
この男の指示ひとつ。たったそれだけで私達はこの男が示す対象を殺してきた。
それが過(あやま)ちであるとも知らずに。
神は絶対では無い。いつしかそんな事を考え始めた時にはもう遅かった。
国は此処を警戒し始め、何度も何度も教会に調査が入った。
それが面白く無かったんでしょうね?
4度目の調査が入った時、この男は私達に言い放ったわ。
"コイツらを殺せ"とね。
過ちに気付き始めていた私は皆を止めたわ。こんな事をするのはおかしい。
よく考えてみるべきだとね。
だけど長年に渡って洗脳されてきた思考の奥底には届きはしなかった。
彼等は鼻で笑ってこう言ったわ。
"神が全て。神は絶対だ。"
その瞬間に私の中の全てが崩れた。
気づいた時には彼等を殺していたの。
勘(かん)の良いこの男はすぐさま逃げていったけれど。                         
それからずっと探していたの。
本当に長い間。ずっとね。
私の生きる時間全てを捧げてでもこの男だけは逃(のが)してはならない。
神もそれを望んだはずだと。
だから邪魔をしないで欲しいの。
数年間、探し求めてきた私の今生(こんじょう)の望み。                         
この男を殺すまでは、私は正しくなんて生きられない。」

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