17個



1死神「うんうん…それは分かりました。残したお子さんと奥さんが心配なんですよねー。でも、でもですよ?貴方が側にいるためには、お子さんや奥さんから寿命を少しずつ分けてもらわなきゃいけない。それでもいいんです?

あー、もう。埒(らち)があかない。時間が無いんですよー。早く決めちゃって下さいよ。死ぬか寿命もらうか。2つに1つなんすから。」



2死神「はーい。死神です。お初にお目にかかります!

ところで…出会ってすぐにこんな事言うのもなんですけど、この度(たび)は御愁傷様(ごしゅうしょうさま)です!」



3死神「そんな助けてと言われても、私は寿命を迎えられた人を迎えに来ているだけなので…。

平気ですよ。黄泉(よみ)の国はとても良い所ですから。…まぁ、人によっては。ね。」




----✂︎----2018年----✂︎----


4「我が救いの手を求む人の子らよ…。

よくぞ此処(ここ)神明(しんみょう)の地へ参った。

現代における災難は既に耳に入っておる。

心優しき汝らの申し出であれば、この力を用(もち)い、現代における災難への救いの手を差しのべようぞ。」



5貧乏神「うわぁあ!!(屋根裏から落下)あ…。ど、どうも!今宵、貴方に取り憑かせて頂きました貧乏神と申します!

あぁ、大丈夫!この界隈(かいわい)一の金持ちである貴方の大切なお家が、世界一の貧乏家族と化した時には、私貧乏神、喜びいさんでお暇を頂きます故(ゆえ)どうぞご安心下さいまし。

では、短い間ではございましょうが、何卒(なにとぞ)宜しくお願い致します。」



6「あはははは!遂に殺った!俺は殺ったのだ!もうこの俺を止められるものなど存在しない!

人類よ!生き残りたくば我が眼下(がんか)の元にひれ伏せ!俺は神となる男だ!!我は人類の上に立ち、恐怖を司(つかさど)る神デイモスをも越える恐怖を与え、そして創造の神テスカトリポカをも越える創造を行う。

抗う者は抗うがいい。ただし、死ぬ覚悟のある者のみだ。」



7「この世はもう既に、決められた有りとあらゆる規則、言語で固められている。だから私はこの世の仕組みをぶち壊し、新たなる世界の創造をしようと思う。何にも囚(とら)われる事の無い…楽園ってやつをな。」


8「生け贄は心臓をえぐりだし、我が祭壇に捧げ、その身体は祭壇の元にひれ伏せさせるが良い。白い布を着せ、装飾モノは外しておくのだ。

我が信者達よ。お前達の幸運と繁栄は約束された。

我を崇(あが)め、信じるがいい。」



9「それぞれの星をおさめる生物…そして無機物よ。

今こそ、自(じ)の星、世界を守るため、戦うのだ。

遥か昔に生まれた星、今この時生まれた星、死にかけた星…星の特性は様々だろう。だが、その様な事はどうでも良い。勝つ事が全てだ。どの様な星も、負ければ滅ぶ。それだけだ。

力、化学、知識。持てるものは全て使うと良い。

…もう一度言う。勝つこと。それが全てだ。」



10神「これからの世を生きる子供達…さぁ、産まれる時が来ました。

それぞれの母親、父親の元へ行きなさい。

大丈夫。恐れる事はありません。運命が貴方方を守ってくれます。

行きなさい。生きるのです。親の愛を、存分に注がれ、良き人、良き大人となるのですよ。」



11死神「ハロー♪どーもどーも♪今宵も良き夜、良き死に日和(びより)ですね~。

あれ、気づいておられなかったのですか?

あちゃー。こりゃまた、嫌な死に方しちゃったんですねぇ。

でもー…もう馬車も来てますし、死者の国に行かなければ。

ささ!もう潔(いさぎよ)く行きましょ!あっちも楽しい所ですよ~。」



12神「…俺は神だ!!並みの人間よりは長く、そして濃厚な神生(じんせい)をおくっていると自負している!!

この俺が、お前をぶっ潰す!!

お前は所詮悪魔だ!!神になどなれやしない!!

どんな力を得たとしても、お前は使いこなせやしない!!」



13灯火に消え行く蛾の美しさ「灯火に群がる蛾達よ…人々は主らを哀れみ、貶(けな)すが、私は主らを美しく思う。

ヒラリと夜空を舞い、灯火に向かうその姿は、まるで宝物を探し求める子供達の様に可憐であり、灯火の内に命を落とすその様(さま)は…まるで儚(はかな)き冬の日の夕焼けの様だ。

そんな主らが私は愛らしい。

そんな主らの来世の目覚めが心地良いモノになることを心より願っている。」



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14死神「あらあら神々の皆様?

ごきげんよう。

えぇ。私も好きにやらせて頂いておりました。

貴殿方もお元気そうで安心いたしました。

神の子?はて、私には分かり兼(か)ねますわ。

一体何の事やら。

私は私の使命を果たした限りでございます故(ゆえ)。

あら?先程から 神に対して 神に対してと…偉(えら)そうにおっしゃっておいでですが…。

私は死神。貴殿方に負けず劣(おと)らない神でございます。

言葉使いには気を付けた方がよろしいかと。

私にも限界というモノは存在しますので。」



15貧乏神「…そんな目で我を見るな。

我はその様な容易(たやす)い生物ではない。

ましてや歓迎されるべき神では無い。

我はこの家に貧乏という名の不幸を呼び寄せる。

我がここにいることだけでその様な事は容易く成し得てしまうのだ。

…??独りで無くなるのであればそれで良い?…ハハ…何を言い出すかと思えば…。

その内、本当に貧乏になっていくにつれて貴様も我を重荷に感じる様になる。

避けられぬ。

我の定めだ。気にしなくて良い。」



16「黙れ!!少し黙っていてくれ。

我は神では無い…決して神と呼ぶに相応しい存在ではない。

我はこの世で唯一愛し 慕(した)う それを、護ってやる事すら出来ないのだ。

我はただ…お前の側にいて、お前のその柔い笑顔を…暖かな声を見て…聞いていたかっただけだった。

我にとっては世界はただそれだけのモノだった。

何故我はこんなにも無力なのだ??

嗚呼…またお前はそうやって笑う。

苦しいのなら泣いたって構わないのに。

今にも散りそうな笑顔で笑う。

なぁ 何故我を信仰する?

こんなにも無力な我を…何故?」



17「どうして死んだのか?

それは難しい質問だな。

勿論、死のうと結論づけた理由はあるのかもしれない。

それでも本人の人間観や人生観。

今まで過ごしてきたうちの所々にそう結論づけさせる要因となったものがあるのかもしれない。

まぁ、結論は彼女にしかわからない。

お前にはなにも出来なかった。

それだけのことではないのか??」



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