100個


201願い蛍「蛍は、地上にいる星。その光は儚(はかな)くて…すぐに消えてしまうけれど、一生懸命…自分の命を燃やしてる。

……ねぇ、蛍さん?星に願う様に、蛍さんに願えば叶うなら…蛍さん…"母さんと会わせて。"

星は遠くて、願いが届く前に、私…消えてしまいそうだから…。

だからお願いします。母さんの姿を、声を、…温もりを…!もう一度私に…。」



202  10回目の結婚記念日「今日、結婚記念日だね。

今年でちょうど、10回目。

………正直ね。正直…君が恋しくて仕方がないの。

1回も…一緒に結婚記念日、迎えること出来なかったから。

…毎年、今日が近づくと…あの日、なんでケーキなんて…ねだっちゃったんだろうって、後悔するの。

…ケーキ欲しいな~なんて、言わなかったら、今日も君は隣で笑っててくれたのかもしれないね。

…今でも、この結婚指輪、外せないの。なんか、意味なんか無いのかもしれないけど、それでも…君との繋がりが欲しくて。

…ねぇ?これ、ブーケ!…今年で10回目だから、もう一度ブーケトス…したいなって、思って。

………なんか、ちょっと照れちゃうな。

……えいっ(投げる)!わ~懐かしい……。え……?…10年間…ずっと愛し続けてたよ。辛くても、苦しくても…!!"結婚記念日、おめでとう。"」

※幽霊として現れた彼がブーケトスしたブーケを拾ってくれた。という設定。



203欲しいもの「僕はいつも独りぼっち…ついてくる奴は皆…僕を必要となんかしていない。僕の立場を利用したいだけ。

……利用されるのは、もう良い。利用されるだけされて来た。

…けど、僕が本当に欲しているのは……"本当の友達なんだ。"」



204湖汲み「湖は、空の涙と…生命の灯火に満たされる。

空があまりにも辛く無いように、君があの世で…灯火を消してしまわないように。灯籠の流れる今日、それを少しずつ…少しずつ汲(く)み取ろう。」



205「伝え方…なんていうのは、どうでも良いと思う。私は、歌が好きだから、こうやって歌って…想いを発するの。

愛する人へ届いてるのか…なんて、そんな事は分からないけど。

それでも、私は歌い続けたい。

…アンタは?どうするの。」



206「始めて見た君の泣き顔は、とても綺麗で、僕はそんな君を好きになった。そんな君を、守りたいと思った。

…けど、もう無理だって気づいた時にはもう遅くてさ。

君と出会って、しばらく流していなかった涙を…夜中流してしまった。

君には君の日常があって、僕には僕の日常がある。それは当然だから…だから。もういいんだ。

…もう。僕一人じゃ、君は満足出来ないから。

君は君の好きな人と行くと良い。

………ばいばい。」



207「神様は、残酷なお方です。

神様のお隠しになったモノも、人も…全ては帰ることはない。

あの人も神に隠されたか、それともこの場所に嫌気がさしたのか…"いってきます"と笑って出掛けたまま帰らない人となった。けれど、今も微(かす)かな期待の中、あの人の生活の息を絶やす事無く保っています。

ねぇ?もしも、今いる場所があまり住み良く無くて、まだ帰る気があるのなら、いつでも良いので帰って来てください。いつも、いつまでも…見えない貴方の影を待っています。」



208「…ねぇ?君はどうして僕を生かすの?

僕はこんなに臆病者で…嘘つきで…バケモノなのに。

ずっと独りで生きてきた。ずっと独りで良い。それが幸せだと思ってた。

でも、君があらわれたら、君が居ない時間と空間に寂しさを覚えた。

いつの間にか君に依存していた。いつの間にか…君は僕の…僕だけの君なら良いのにと思うようになった。

…君の回りの人を殺すようになった。

あの血に染まった校庭も、プールに浮かべた死体も、君の涙も……全部……僕のせいなのに。

それなのに、どうして君は僕を生かすの…?

そんなに…そんなに泣くなら…いっそのこと僕を殺してくれ…。」



209「離れる事なんて、平気だよ。…だって、いつだって…いつまでだって…僕ら(私たち)は仲良しだから。

だから、きっと平気。どんな事があっても僕ら(私たち)仲良しでいればそれだけで大丈夫。…ね?だから泣かないで。必ずまた会えるからさ。」



210「…泣きたいよ?でも、一番泣きたいのは、君だって分かってるから。

だから、僕は泣かない。

大丈夫。君は沢山泣いて、沢山笑えばいい。

どんな君でも、僕が受け止めるからさ。」



211透明人間「顔認証…プリクラ…カメラ…眼…視界………。何1つとして…誰1人として…私を認識出来るモノは無い。

肌に触れたいのに、触れられない。声をかけたいのに、かけられない。誰かに認識されたいのに…それは…叶うことはない。

"透明人間"それは、私のような生き物の事をいうのだろうか?

いや…そもそも私は"生き物"だと言ってもいい存在なのか?ただの"無機物"…宇宙の塵(ちり)も同じなのではないか?

………考えても仕方がない。だって私は、認識されることは無いのだから。」



212「母さん…!もう辞めて!!もう辞めてよ!!!

その子は、危険な生物なんかじゃないっ…。森で傷ついた僕を、外界(がいかい)からいきなり入ってきた僕を、!怖がりながらでも必死に助けてくれたんだ!!

その子が僕ら人間を傷つけようとしているんじゃない!!僕ら人間が!この森を壊すから守るために戦ってるんだ!!

母さん!!聞こえないのかよ!!こんなの可笑しいよ……。狂ってる……もう辞めてよ。」



213「フフッ…ウフフ…。フフ……。もう、死んで良いよね。

もう、楽になって良いよね。

…駄目だって言うなら、生きてって泣くなら、私のこと本当に見ているのなら、私の事を助けてよ!!

無理だよね?だって、今私が死のうとしてるの、アンタのせいだもん。

助ける素振りだけ見せて、蹴落としてきたアンタのせいだもん。

……知ってた?最初から傷つけてきた人間より、回りで哀れんで、可哀想だねって言ってくる人間のほうが、よっぽど残酷で汚いんだよ!!……もう良いよね。笑っているのにも、もう疲れたから。

アンタのお望み通り、死んであげますよ。」



214「君のために毎日朝食のパンを焼く幸せを。

君の仕事帰りを晩ご飯を作って待つ幸せを。

君と私の、2人ばかりの子供達の成長を、君と一緒に見守る幸せを。

君と、毎年毎年誕生日や結婚記念日なんかを一緒祝う幸せを。

君が足を悪くして杖をつくその背中を支えて横を歩く幸せを。

君が息絶えて眠るその寝顔を見つめて涙を流す幸せを。私はこれから、一生涯かけて、噛み締めていきたい。……そんな願いは、我が儘でしょうか??」



215来年「また雨が降れば、君が同じ傘の中を歩いてくれると思ってた。また晴れた日には、君が"いい天気だね"って、笑って僕の肩を叩いてくれると思ってた。

…また雪が降れば、一緒に雪だるま作って…"人参が無いや"なんて言って笑って……。桜が舞い散れば…。……君は…いなくて…。…ああ…。ああ…。また、同じ時を刻みたかった。また、来年、今年よりも笑って…再来年はもっと!ってさぁ……。何でだよ。何でいなくなっちまうんだよ…!

なぁ……何でだよ。」



216単身赴任前夜の結婚式「…結婚してくれて、ありがとね。…私、やっと君が決意してくれて嬉しいよ。

……でも、やだな。明日から単身赴任(たんしんふにん)。やっと結婚出来たのに、今度は独りぼっち。

……嫌味言ってる訳じゃないの。ごめんね。寂しくて、つい。

でも…可笑しいよね。結婚する前よりも、結婚してからの方が…遠くにいるなんて。

……君はズルいよ。結婚しよって言ってくれたの、赴任…決まってからでしょ。

私が、君が遠くに行っても、離れないように。結婚指輪っていう、鎖をつけてさ。

…冗談。……ねぇ?忘れないでね。これからは…私は、君の"奥さん"なんだから。」



217不老不死「君の恋愛対象になりたくて……ううん。君の時間に、思い出に…一欠片でも…一色でも…残っていたくて。

……だけど、君は…私の想いを伝える前に一生を終えてしまった。

………生き物の生涯は永遠ではない。その事を、今更知るのだから、私は…長く生きている甲斐(かい)も無く…未だに不老不死であるこの身の朽ちる日を待ちながら、独りのうのうと生きている。」



218梅雨の紫陽花の移り気を。「梅雨……なんで梅雨は私から全てを奪ったのですか。

…どうして私の周りから、全てを消し去ったのですか…?

……梅雨はジメジメしていて嫌いです…。

葉の上に蹲(うずくま)る蝸牛(かたつむり)も…田畑で鳴く蛙(カエル)も…毎日降り注ぐ雨も…!!

何もかも…!私には不幸でしか無いのだから…。消えて…消えて…消えて消えて…もういい加減にしてよ!!

………嗚呼(ああ)…こんなに苦しいのに、紫陽花はいつだって私を見下すのね……本当に…憎らしい。…早く枯れて、その頭(こうべ)を垂(た)らせば…少しは好きになれるかもしれないのに。」



219「……騎士様…?コレは…夢でしょうか。死に行こうとする私の身体は今、騎士様に包まれています。

…ああ…騎士様…壊れかけている私の耳ではもう…騎士様のお声が聞こえ無い様です。

騎士様の温もりも、透き通る瞳の光も、その鼓動も…何もかもが私には掠(かす)れて見えてしまいます…。

…でも、騎士様…私は、死ぬ間際に貴方に抱かれる夢を見るだなんて……これ以上にない幸せ者ですね…。」



220目の余命数週間「ねぇ?君ってさ!綺麗な目をしてるよね!!

…あ、ごめんごめん!すごくキラキラしてたから、つい!

あはは、そんな怪しげな目で見ないでよ~。

…私ね!もうすぐ失明するんだ!!

生まれた時から、いつかは失明するって言われてて…。

だからさ!君の目を私に頂戴!!

なんてね!!冗談だよ!

ただ、ちょっと羨ましくて!

じゃ、バイバイ!自分の目を大切にね!」



221カゴの中は雨上がり。「…いなくなった…全部消えて無くなった。

沢山詰め込んでたカゴの中は…今は空っぽで…僕の隣で笑ってた君は、いつの間にか死んでいた。

ねぇ?…このカゴの中に、小鳥も…飛行機も…空の青も…雲も…虹も…全部全部捕まえたら、また雨上がりの晴れたあの空が見れるかな?また、君に逢えるかな?」



222「笑いたいから笑うんです。楽しいから楽しむんです。幸せだから…幸せだって言えるし、嬉しいから、嬉しいって………。

……でも、今は、貴方の死に行く事が…嫌で嫌で…仕方がないんです…。

悲しくて悲しくて……仕方がないんです……。

貴方は、自分が死ぬ時にも、そうやって笑っていてくれと…言いました……でも、もう、…もう無理です……。こんな時には、泣いても…良いですよねぇ……?」



223「君が幸せならそれで良いと思ってた。

だけど、僕よりも早く…あまりにも早く旅立った君の幸せは、もう僕には見えない。

…何も分からなくなった。何もだ。

僕がこれからどう生きていけば良いのか…君は今…あの世で幸せでいるのか…生前、君は本当に幸せだったのか。

…"自分らしく"…まわりから飛ばされるその言葉は、あまりにも"他人事"じみていて…僕の心をいっそう削っていった。

君の事だけを考えて生きてきた僕には、もう生きていく方法が無いんだ。」



224「君は…いつも"星の流れる夜空を見たい。"と言っていた。

…天体の好きな君は…私の事なんかよりも、ずっとずっと星を眺めていて…。それでも、流れる星を見ることが出来ずにいた。

…結局、流れる星を見るよりも早く、この世を去って行ったから、きっとこんな夜空を見る夢を見ながら死んで逝ったんだと思う。……ねぇ?見てる?天国からでも見えるのかな。

今晩は、星が群れを成して流れる夜…。出来れば君と…此処で、この流れる星の群れを…見ていたかった。」



225"君がいたから"「僕は君がいたから此処まで来れたんだ!!…君は、僕が弱音を吐いても、泣いても…転んでも!"大丈夫だ!"って、僕を置いて行きやしなかった!

…僕は君に救われたんだよ。

だから!!こんな時くらい…僕に格好つけさせてよ!……こんな、僕でも……少しくらい…君の役にたちたいんだよ!!」



226  余命3日「"余命3日"その言葉はあまりにも現実味を帯(お)びていなかった。

今日まで一緒に過ごしてきて10年間。来年には結婚式をあげようと、計画していた所だったというのに……。

私の時は、数分の間固まっていた。まるでスマートフォンであの、クルクルと回るビジーマークが出ている時の動画のように…

お医者さんの難しい話なんか、どうでもよかった。今はただただ、3日後に死んでしまう君との最期(さいご)であろう時間を大切にしたかった。

…そして、私の時は動き出した。それは君の笑顔を見たから。

"これから3日間、他の奴に取られない様に、最高の思い出を作らなきゃな!"って……余命3日だという現実を除けば、今までとなんら変わらない…紛れもない君の笑顔がその時、目の前にあったから…。

しかし、……時は待ってくれません。

もう時間だと急かされる様に…余命宣告から3日目の朝、君は目覚める事無く、この世を去っていました。

……私の枕元には婚約指輪と"僕と結婚して下さい。"という小さなメッセージカードが置いてありました。

……そして、私は君の寝顔を見ながら…君に答えます。

………"はい。よろこんで。"」



227眠る時「私とお兄ちゃんは、人気(ひとけ)の無い影で暮らします。

お兄ちゃんは、たまに出掛けて行っては、少しばかりのお金を持って帰ってきます。…いつも傷だらけになって。私が泣いて縋(すが)っても、お兄ちゃんは出掛けていきます。

あの、少しばかりのお金を手に入れるために。

お兄ちゃんは、絶対私の名前を呼びません。きっと何か、嫌な思い出があるんです。いつも、私のことを、"おい"だとか、"ほら"と呼ぶんです。

冷たい訳じゃないんですよ?お兄ちゃんは…すごく優しいんです。

……私は、いつだって幸せです。お兄ちゃんと同じ場所で眠れるこの幸せを…ずっと噛み締めていきたい。」



228 失われた命への悔やみ「嗚呼…この空はいつまで見ていられるのだろう?

この蝉はいつまで鳴き続けるのだろう?

かき氷はいつまで冷たいのだろう?

花火はいつまで燃えるのだろう?

何もかもが…この季節は、何もかもが儚く散る。

強く激しく燃えるほど、輝いている事の出来る時間は短い。

……命もそう。誰もに好かれ、誰もに愛される命こそ…早く儚く散って逝く。

………どうせ奪うなら、汚いモノから奪って行けば良いのに。」



229  私のために「何で死のうとするんですか…私の為とは何ですか?私は、貴方が死ぬ事で幸せになれるんですか?貴方の居ない明日は笑えるのですか?

違う…違う!!そんなの貴方の自己満足でしかない!

貴方が居たから、今まで笑う事ができた…!

貴方が側にいた時間が、私は幸せだった!

だから…!私の為に死ぬんじゃなくて…!そうじゃなくて!!私の為に…生きていてよ…!!!」



230死にたい「君が消えた世界で、僕はどうしたら良いんですか。

ただただ涙を流しながらモノクロな世界をいつか死ぬときが来るまでこの命を燃やし続ければ良いんですか?

それとも、君が旅立つ前言っていた様に、君ではない他人と恋をしたフリをして、偽りの"幸せ"を噛み締めていれば良いのですか?

そんな人生を生きるくらいなら…そんな不幸をただ漂(ただよ)うくらいなら……。君のいる世界に…今すぐに行きたい…。」



231「大丈夫。大丈夫だから、泣かないで。

私にとっては、君が何よりも大切なのです。だから、この身体と引き換えに君を守れるなら、私は君を守りたい。

……嬉しかったんです。君が私のことを受け入れてくれて…私は、君が愛した人の身体を、奪ったのに…。泥棒なのに…!

…えへへ…。なんだか、急に別れが辛くなってきました。

……大丈夫です。君の側には…君が愛したこの身体の本当の持ち主が、きっと居てくれますから。

君と彼女を引き離してしまって…本当にごめんなさい。

強く…強く…生きてください。これからも。」



232「大丈夫。怖くない。

だって、人はどうせ死ぬんだから。だから少しくらい早く命を落とした所で、多分何も変わらない。

辛いと思う人生なら、此処までで良いじゃないか。

もう生きたくないと毎日泣くのなら死ねば良いじゃないか。

……もう、この命に未練はない。」



233「何もない日常が本当に大切なものだって気づいたときには、もう日常は日常では無くなってる。

でも、気づかなければ今日も…ただただ無駄な日常を貪って僕らは生きていくんだ。

それが価値のある事だと言える君が、僕は羨ましいよ。」



234「愛してるって言えば良いのですか?側に居れば良いのですか!

愛する人を守るためなら、私は何でもします。

どんな嘘も偽りもしてみせます。

その為なら、貴方の様に憎い相手だって愛してみせるわ。

子を孕(はら)めと言うのなら、何人だって孕みましょう。

でも!これだけは忘れないで。私はどんなに笑っていても、いつも心の底では貴方を憎んでいるわ。

……愛してる。貴方を愛してる。……さぁ、抱きなさいよ」



235「何故…何故彼女を連れて行くのです!! 

その人は僕の愛する人です!

王家の人間だからと…、人を連れ去っても良いのか!!

その人を愛するのなら、正々堂々と戦え!

力や金にモノを言わせるな!!

くそ、くそ!!王よ!貴方は無慈悲な方だ!!」



236「"幸せってなんだと思いますか。"

そう問う声は周囲のシンと静まりかえった空間に消えていく。

私は、もう幸せを感じる事が出来ない日は来ないのだろうと、そう感じていた。

一言に言うなら、無。

無の中には、私の幸せも勿論無い。

……負けたのなら負けたでいい。

……死んだのなら死んだでいい。

……消滅したのなら消滅したでいい。

……それでも、もう一度だけ。

例えば此処に君が居たら、それは"幸せ"だと思うんです。」



237「…悪いけど、

アンタを連れ去るなら、私の手で連れ去るって決めてるから。

アンタを止めるなら、私の手で止めるって決めてるから。

…アンタを殺すなら…そうでないとアンタを止める事が出来ないなら…その時は!!私の手で!この手で!アンタを殺すって決めてるから!!

ねぇ、止めてよ。…もう止めてよ!!

アンタを殺すなんて、そんな辛いこと…出来れば私に…させないでくれるかなぁ…?」



238「君の声が聞けたなら、どんなに幸せだっただろう。

君の顔が聞けたなら、どんなに嬉しかっただろう。

…なんて、いつも考えちゃうんだけどね。

でも、目も耳も失った私には…もう君の気配を感じる事しか…出来ないんだ。

……ねぇ、そこにいるの?…教えてよ…。」



239恐がらないで「ねぇ…ねぇ。

僕は、そんなに怖いかなぁ…そんなに…恐ろしいのかなぁ…。

そんなに…そんなに醜いかなぁ…。

皆、皆…僕から逃げていくんだ。

……ねぇ、恐いんだって、分かってるんだけど…分かってるけど…!

……僕の事…ちゃんと、見て欲しいんだよ。」 



240「ごめんなさい…ごめんなさい。

そばに居て欲しかったのは、貴方だけのはずだった。

貴方が居てくれればそれで良かったはずなのに…。

いつの間にか…私は欲しがりになっていました。

これじゃあ…貴方が私に嫌気をさしたとしても、仕方ないですよね……。」



241「俺が消える事で…そんな事で君の事を守れるなら、俺はそれで良い。

ねぇ?最後に、一回だけで良いから…俺の事、呼んで?

クスッありがとう。最初から最後まで、俺、やっぱりお前が好きだったわ!」



242「要らない…もう要らないの。

裏切り者の遺体なんか、此処にあるべきモノじゃない。

早く、誰か此処からコレを持ち出してよ…。

もう…見ていたくも無い…。

コレは…嗤(わら)ったのよ。この国の壊れていく様(さま)を見て嗤ったのよ!!

英雄の顔をして…影では敵の手の内に落ちていた……。

最低な悪魔よ…。」

シチュエーション例:戦争に行った恋人が遺体となって還ってきた。だが、その恋人の乗っていた機体が、自国の民家を襲撃したとして国では民衆を騒がせていた。



243「貴方の未来は私が必ずしも居なくたって、変わらず流れ続けるんです。

それなのにどうして、貴方の隣が、私である必要があるのですか?

……私の代わりなんて、いくらでもあるのに…。

私が良い…なんて、我が儘ですよ。

……そんなに泣いて…怒って…私をとめていても、代わりに慣れればそっちが良くなるんです。

そういうモノなんです!!

……だから、もうこれ以上…私を傷つけないで。楽にさせてください。」



244「はぁ、…"人の為"そう語ってきた私が、人に滅ぼされる事になるなんて…。

なんでだろうね?どうして私…殺されたんだろうね。

自分の事なんて、考えた事は無かった。

いつも他人のために笑っていた。他人のために生きていた。

"……?"

じゃあ…"私"って誰なんだろう。

…私は確かに存在したはずだった。

私を消したのは…透明にしちゃったのは…私…。

そうか、私を殺したのは私なんだ。」



245透明人間(顔)「大丈夫。僕は死んでるから。

だから、君の生活は変える必要なんかない。

君は今まで通り笑っていればいいし、君らしくいればそれでいい。

ねぇ?だからさ、僕に顔を…くれないかな?

今の僕には顔が無いから…笑うことすら出来ないんだ。」



246「出来れば、側にいたかった。

出来れば、もっと何かしてあげたかった。

出来れば……もう一度だけ会いたかった。

……でも、もう無理なんだよね。

もう、会えないんだよね。

……最期に、消えてしまう前に、君に会いたかったよ。」



247(復讐)「貴方に私の何が解るの?

私は、母さんが殺されて、今まで10年間…ずっとこの日を夢に見てたの。

母さんを殺したアイツを、母さんの命を奪ったこのナイフで殺してやる日をね!!

…止めないで。此処まで来て辞める訳にはいかないの。

私は、母さんの無念を晴らすの!!

邪魔するっていうなら、アンタのことだって…私、殺してみせるわ。」



248怪物なのに。「…スキ?どうして?

どうして僕にスキだなんて言えるの?

僕の手も、身体も全部血の色に染まってる。

身体は血の臭いがこびりついて離れないし…またいつ…人を襲うかも分からない。

それなのにさ、なんで、僕にスキって言えるのさ??」



249duo~欠けたピース~「なんで居なくなろうとするんだ。

なんで独りにしようとするんだ。

私に、duo(ドゥオ)という名前を付けてくれたのは、お前じゃないか。

duoは、2つという意味があるのだと…私とお前はずっと2人生きて行こうと…そう言ってくれたではないか。

…どうして死ぬんだ?どうして置いていくんだ?

なぁ、…答えろ!!言い訳なんか、聞きたくない。

私は、お前とずっと一緒にいたい。消えないで欲しい。…これだけ言っても分からないのか!!

……私を独りにするな…側に…いてくれ。頼むから…その為ならなんだってしてみせるから…!

飯が無いなら我慢する…!着替えが無いなら何日同じ服だって構わない。…邪魔する奴がいるならこの手で殺してやるから…!だから!!

……私を置いていかないでぇ!!」



250future~明日を生きるお前に~「なぁduo(ドゥオ)明日から、1人で生きろと言われたら…どうする?

そんな顔するな?ちょっと聞いてみただけだ。

たださ、俺らだって、所詮は生物な訳だしさ。

いつかは…いつかはだぞ?

いつかは、死ぬときが来る訳だ。

死神さんってのは、結構せっかちでな。死ぬと決まった奴をいつまでも生かしといてくれねぇんだわ。

だから、いつ俺が死んでも、ちゃーんと生きてけるようじゃねぇと、この先は辛ぇぞって、そういう事。

何泣いてんだよ。こんなの1人いなくなったとこで、お前は元気にやってけるさ。俺は、お前を信じてる。

何でかってぇ?ヘヘッ俺ぁお前が大好きだからなッ。

なぁに。このfuture(フトゥレ)様が、そー簡単に死んでたまるかよ!!だからそんなに怒んなって。なっ!」



251油絵「…君が居た日を忘れたくなくて…君が居た空間を守りたくて…今日も独り油に振れる。

僕の絵が好きだと、新しい絵を描くたびに笑ってくれる君が、また帰って来てもいいように。

そして今度は君の"大丈夫"に甘えないように。」



252「…それは苦しまぎれについた、自分自身を守るための嘘だった。

僕は、その嘘で彼女を傷つけた。それはまぎれも無い…僕の罪だ。

…分かってる。だから僕は償うんだ。

罪に見合うだけの罰を受けるんだ。

…彼女は死んだ。だから、僕も今…死ぬよ。」



253君の死んだ日俺は最低な人間になった「何もかもが手遅れだった。何もかもだ。

…もう…この世にアイツはいない。

殺されてたんだ。なぁ…教えてくれよ。

俺はどうしたらいい?

アイツを救い出すために俺は全てを捨てた。

でも、俺の裏切りには…意味が無かったんだ。

恐いんだよ。アイツの為にって、今まで、がむしゃらに動いてきたのに。

アイツがいないと分かった今…

これから先見えなくて…俺…恐いんだよ。

最低だよ…そんなこと分かってんだよ。でも!!

誰か…誰でもいいから…俺をたすけてよ!!」



254夢(羽ばたき)「"飛びたく無い"そう思ったのは、羽ばたく鳥の羽が奪われる時の惨(むご)さを知ってしまったからだ。

"飛びたい"そう思ったのは、君の飛ぶその空を、私も感じていたかったからだ。

…私は恐がっていた。自分の行く末から目を逸(そ)らしていた。

でも、それじゃあもう二度と飛べないから…。

私は力いっぱい…いっぱいいっぱい羽ばたいて…!またあの空を飛ぶの!!」



255「いっそのこと、最低だって、テメェはクソ野郎だって言ってくれよ…。

俺はアイツを裏切った。信じてくれていたアイツを…最後の最後にはその崖を掴む手を踏み潰した。

…………なのに、誰も俺を責めねぇ。誰1人として!胸ぐら掴んでくる奴はいなかった!!

…なぁ、そうやって慰められるのが一番虚(むな)しいんだよ!」



256「あはは…笑っちゃうよね?

皆の為にって。皆が笑えるならって…笑ってた。

そんな私は、辛くても、悲しくても。もう泣くことは出来ないんだから。

泣いても良いって?…皆そう言うよ。でも、いざ泣いたら、どうせ皆いなくなるんだよ。」



257「なんで、なんで俺はいつもこうなんだ…もっと早く、もっともっと早く!アイツの笑顔の裏の泣き顔に気づいていれば…こんなことにはならなかったはずのに。

なぁ、もっとお前の声を聞かせろよ…もっと…我が儘言えよ…。

俺の心配なんか、もう要らないからさぁっ…!」



258透明人間「ねぇ。君が僕の存在を認めてくれたから、僕は此処にいれたんじゃないか。

……君まで僕を見なくなってしまったら、僕は此処にいれないよ……。ねぇ。……ねぇ。

僕は…此処にはいなかったの?」



259看護師:不治の病からあの子を助ける為に。「"治せるモノなら治してみろ"…あの日、あの子は言いました。

…誰にも治せないということは、もうとっくに分かっていました。

"不治の病"というモノは、その患者を生涯苦しめます。

どんなに本人がもう嫌だと嘆(なげ)こうが、助けてと叫ぼうが、病はその人の身体を蝕(むしば)みます。

…そしてあの子はついに"僕の事を助けてよ"とすがって来るんです。

……助ける方法。

そんなものは1つしか無いでしょう?

……悔いはありませんでした。

だって、もうあの子は苦しまなくてすむ。

今はただ空っぽになったあの子を抱いて、"完治おめでとう"と呟くだけ。」



260死ぬ間際「何億…何兆年輝いてきた星にだって、いつか寿命はくる。

当然俺等人間にもな!

…で、今日が俺の寿命って訳。

こればっかりは、抗えないんだよ。

…なぁ、嫌じゃなければで良いんだけど、手を握って…死ぬまで側にいて欲しい。

…ほら、やっぱ、こういうの…怖くてさ。

……さっきから震えが止まんないんだよね!

…ありがと。ごめんな。

最後の最期まで…側にいてくれて、嬉しいよ。」



261「なんで泣いてるんだろ?

なんで、このままで良いなんて

思えてしまうんだろ?

ほら、また

何も伝えられないまま。

僕はただ時間を貪っているだけ。」



262「本当は分かっていた筈(はず)なのに、良い事なんか無いって、ちゃんと分かってた筈なのに。

ほんのちょっとの蜜に、誘われてしまったがために…私は潰されてしまう…こんなんじゃ、私はただの哀れな蜂(はち)だ…」



263「よぉ。お訪ねモノは見つかったかよぉ?

フン…諦めずに探してればいつかは何か見つかるってぇ?

馬鹿みてぇだな。

何か見つかる。諦めなければ。…そんなモノは嘘っぱちだ。

俺はな、いつもこうやって"もういいかい"って唱えてた。

だが…肝心(かんじん)の探し物はいつも見つからねぇんだ。

……探したきゃ探せぇ。

そして後悔すれば良い…感じれば良い!

見つかる事を信じて、本当は在りもしない夢を見続ける事の悲しさと…どうしようもない虚しさをな。」



264「心なんて、もう要らない。

悲しみや怒りを感じて痛む心なんか、あっても何も意味が無いじゃないか…。

なんで感じる事をそんなにも重要視する?

どうして痛みのある世界を生きなければならない?

……こんな世界に生きるくらいなら、もういっそのこと地獄に堕ちたい。」



265「僕は、君が居たから…笑えて。

君が居たから…幸せだった。

だから、"私のせいで"なんて、そんな事言わないで?

最後まで、君の側で笑っていたいから…もう…そんな悲しい顔しないでよ。

僕に幸せをくれて、ありがとう。」



266「ああ…ああ…ああ!!もう、もう辞めてくれ!!

辞めてくれよ、…こんなの狂ってる…何もかも…人も、モノも…動物も…皆、壊れてく…。

なんなんだよ…もうこんなとこ、懲り懲り(こりごり)だよ!!

畜生(ちくしょう)…誰か…誰か、いないのか!!誰か…」

シチュエーション説明:この台詞の主は、この世の終わりにいます。全てが滅び、全てが崩れ落ちていく世界。この世界の片隅で、彼もまた他と同様に滅びていくのです。



267花占い「知ってるよ?

何度花びらをむしって

占ってみても

彼はもう戻らない事。

でも、仕方ないでしょ。

こうしていなきゃ

壊れそうなんだから。」



268鏡「その鏡は、私が消えるべき未来を

ただのうのうと映していた。

誰もが望まなかった

私の命なんか

どんな鏡でも

映してくれるはずが無かった。」



269「そんな事は、もうどうでもいい。

失った時間もモノも…

もう二度と帰ってこない。

アンタに分かるのか。

この気持ちが。」



270「勇気は一瞬。後悔は一生なのだと、

どこかで誰かが言っていた。

それじゃあ…このやり場の無い後悔と

この恐怖は…消え去る事は無いのかな。」



271「多分さ…僕がいなくなるのを

悲しむのって、君くらいだと思うんだよね。

…いや。それが気にくわない訳じゃなくて。

ただ単純に…単純に君が僕の前からいなくなってしまったら…また僕は身のすくむ様な思いをしなきゃいけないのかなって…少し恐ろしくなってしまうだけなんだ。」



272「苦しい世界を生きるための電池なんかもう要らないや。

ほら…もういっそ外してしまった方がきっと楽になれるから。」


273「きっと、大丈夫です。

私が、ちゃんとこうやって幸せでいればお父さんもお母さんも…きっと天国で笑っていてくれますから。

だから私、今は泣きません。

だって、戦の旅は…まだまだ終わらないでしょう?

ここで泣きべそかいてたら、それこそ、お父さんやお母さんに怒られちゃいますよ。」



274「君の痛みは全部全部僕が飲み干すから。だから君は出来れば何も悩まずに…悲しまずに笑っていて。

君が悩むだけ…悲しむだけ。僕はどれだけでもただ君の痛みを呑(の)むよ。」



275「なんで…いつもいつも君は

中途半端に欲をぶつけてくるの?

僕が傷つくだとか、そんな事は

もうどうだっていいから。

欲しいなら欲しいと

言えば良いじゃないか。」



276「ズルい…ズルいですよ…。

散々人のことを連れ回しておいて、危ないって分かったら…こんなにあっさりバイバイだなんて…。

なんでですか?……騎士様!!!

…私を見くびらないで下さい…!

私は、そんなに弱い人間ですか?私はっ…そんなに、役立たずですか…?

お願い…ですから。もっと、もっともっと私を頼って下さい…。

私、精一杯騎士様の力になれるように、頑張りますから!」



277「あの時…あの時信じてさえいれば…。今もきっと、笑えていたのかもしれない。

私が、あの人を信じる事を止めなければ、この悲劇も…皆の死も…全ては負に陥る事は無かった。

なにもかもが全てが綺麗なままですんだ。全てが…未来を祝福してくれた。

……私のこの疑う気持ちが…。その未来を壊したのだから…。

今度は…私が私の未来を信じよう。

今度は、今度こそは…何も壊れてしまわないように。」



278「僕はもう死ぬんだろうなって…

ある程度の予想くらいついてたよ?

でもさ、こんなときだからこそ

泣きべそかいたら、人生損するのかなって。

だからこうやって笑ってさ。

最期の時間を待ちたいんだ。」



279「僕はどうなったっていい。

もう、泣くのは最後にするから…

だから、もう僕のために

傷つかないで。」



280「…どうして泣くの?どうして、貴方まで傷つくの?

…大丈夫。私は大丈夫。

だって、貴方の為に傷つけるなら、そんなに幸せな事って、無いと思うから。

大好きな貴方のためになった自分を、少しだけ好きになれたから。」



281信じてる「私は負けない。私の愛する誰かが、私を信じていてくれる限り…!!

身の程知らずなのは、ずっとずっと前から分かっています!!

でも、運命に…理に…抗ってみたくなる程に…。誰かを信じるということが力があることだと思えた…!!

だから!!貴方はあの人には勝てません。私も貴方には負けません!!

例え私に無が訪れようとも…。あの人の中で、私は生き続けるから!!

あの人の…みんなの…私の!!

生ける全ての者の!!絆という…限りの無い力を!!貴方にぶつけます!!!

〔回想〕━━━━……

ねぇ、○○(例:叶太(かなた))?私、貴方の様に…強くなれるかしら??強く…生きれるかしら??

……信じる…心?…それは何ですか?

誰かを想う事……。そう。誰かを想えば想うほど…強くなれる。だから○○は強いのですね!!

私、貴方を信じています!

ずっとずっと、信じています!

〔回想明け〕……━━━━

○○……私は、強くなれましたか?」



282「君が何度忘れたって、僕が何度だって…また最初から君のことを教えてあげる。

だから、安心していい。僕が君を嫌うことなんか絶対に無いから。」



283花となれ「良いんだよ。僕はこれでいいんだ。僕に咲いたこの花を

誰かが摘んで、綺麗だと笑ってくれれば…。

そんなに幸せな事は無い。

だからそんなに嘆(なげ)かないで欲しい。

どうか笑っていて欲しい。」



284「ねぇ?…○○。僕に隠し事をしていませんか?フゥ…○○は、本当に優しい子ですね。…でも、お願いですから、貴女のその綺麗な心で、嘘なんかつかないでください。

フフ…そんなに瞼(まぶた)を腫らしていれば、さすがに察しがつくというものです。

…僕には…もう、残された時間が無いのでしょう?

……ごめんね。何もかも、○○に背負わせてしまって…。辛かっただろう。…よしよし…本当に、貴女はいい子ですね。

あぁ、死に際を君に見届けて貰えるなんて、僕は世界一の幸せ者ですね。」



285「あの人と私の時と空間を結ぶピースを…1つ1つ、揃えていく。そうしたら、またいつか…はぐれてしまったあの人に、出逢えるんじゃないかって…。

少しだけ…夢を見ていたいんです。」



286「まって、…待って下さい!!それは、…それだけはっ…大切なモノなんです…。

お願いします…!お願いします!!返してください…!

……っ!?あ…ああ…何て…事を…。

なんでっ!!…っ……う…うるさい!!僕の…僕の宝物を返せ!!」



287「ただ、もう一度。もう一度だけ

あの笑顔を見たかった。

だけどそんな僕の

最後の願いを

断ったのは紛れもなく、君だったんだ。」



288「"苦しく無いよ"って誤魔化し続けてきた 

そのツケが回ってきただけ。

他人にすがる人間を笑ってきたくせにいざ独りになると

他人の足を掴みたくて仕方がない。

ッハハ…笑ってくれよ。…こんな惨めな俺をさ…笑ってくれよ。」



289「あぁ、暖かい。貴方の温もり…これからもずっと感じていれたらいいのになぁ。

…ごめんね?…分かってる。分かってるんだよ。こんなこと言ったって、何も変わらないんだって。

こんな事言っても…君を困らせるだけなんだよね。

…ねぇ?1つだけ…もう1つだけ言ってもいいかな…。

君のことが、好きだったよ。ずっとずっと。多分これからも変わらず。

困らせちゃうだけだって、分かってるんだよ。

だけど…この気持ちは多分ずっと変わらないの。」



290君に出来る最善策は?「最後に裏切ったのは君だった。…そう。紛れもなく君だったじゃないか!!

それなのに、なんでそんなに苦しそうな顔をする…?

なんで…別れを惜しむ様なマネをする…?

分からないよ…一体…君にどうしてやることが僕の最善策なんだ…教えてくれ。」



291「なんで…なんで?もう二度と戻ってこないでって…あれだけ言ったのに…。

なんで此処に戻って来たんですか…!

私、貴方だけには犠牲になって欲しく無かったんです…。

貴方だけには…生きていて欲しかったんです!!

それなのに…それなのに、戻ってくるだなんて…。

貴方はなんで…いつもいつも大切な時に…なんで、こうも分からず屋なんですかっ…!!

…無理です…無理ですよ…。

二人無事に帰るだなんて…そんな事叶うわけが無いんです…。

相手は兵器を味方につけた怪物です…!!人間では無いんですよ!?

逃げて下さい…今すぐに此処から逃げて……!お願いだから…。生きてください…。」



292「時が停まってしまえば良い。

そんな事さえ感じた。

これからの人生に微塵の希望も感じなかった。仕方ない事だった。

だってそれは…こうなったのは

全部自分のせいだったから。」



293「ただ、浮かれていただけ。

ただそれだけだった。

目の前の綺麗なモノに踊らされて

とんでもない毒が盛られていた事にも

気づけなかった。

全て自分のせい。」



----✂︎----2019年----✂︎----



294「誰にも受け入れられなかった。

ずっと僕を捨ててきたじゃないか…。

なのに…なんで今更優しくするんだよ…

もう傷付きたく無いんだっ…

放っておいてよ!

……なんで……なんで、なんでなんでっ…。

いつも…いつも僕を捨てたくせにっ…傷付けたくせにっ…。

こんなのズルいよ…。」



295「悔しい…悔しいよっ…。

皆をあんな風に殺されて、奪われて…悔しくない訳無いじゃない…。

ずっと苦しんでる。いつもいつも、皆の元へ行きたいって思ってる。早く皆にまた会いたいのっ……。

でも、行けないの。どんなに苦しくても行けないの!!

私が、アイツの首をカッ切ってやらなきゃ…天国に行った皆に、示しがつかないからさ。」



296「ほら、泣かないで!

大丈夫。貴方は世界を救った。

自分の使命を果たしたんだから!

貴方はただ、胸を張って生きていけばそれでいい。

今まで影の中で這いつくばって生きていた人達を救った。沢山の人を救った。

私1人、居なくなったからってそんなに悔やむ必要はないの。

貴方が笑っていてくれさえすれば、私もそれで幸せだから!

だからほら、泣かないでっ!」



297「君の影を追いかけながら…なかなか踏めないその影を今日も感じて涙を流す。

そんな日常は悲しい様で…それでも君の影を感じ続ける刻(とき)の流れは好きだった。

いつになったら踏めるのかは分からない。それでも探し続けたい。

いつの日か踏める日がくる事を願って。ただひたすらに。」



298「そんな…そんなぁっ…。

なんで…なんで俺はいつもこうなんだ…!

一番…守りたかった人じゃないか…。一番っ…側に居たかった人じゃないか!

それなのに…それなのになんで…なんで守れないんだよっ…なんで……消えてしまうのがお前なをだよ………。

こんな事なら…世界なんか救わなければ良かった…もっと側についていれば良かった……。 

もっと……もっと……何かしてやれたかもしれないのに……。

なんでっ……なんでだよっ!!!なぁ!!」



299「大丈夫。怖くないよ。

貴女は私がちゃーんと守ってあげたから。

だから泣くことなんか無い。

怯える事なんか無い。

いつだって笑って…いつだって、めいいっぱい楽しめば良い。

貴女は私。私が成り得た私。

そんな貴女が泣きべそかいてちゃ、私だってうかばれやしないじゃない。」



300「君という人間をこのフィルムに焼き付ける事に必死になっていた。

沢山の思い出…君の顔…

君の全部をずっと遺(のこ)しておきたかった。だけど君は僕に笑いかける事はなくてずっと泣きそうな顔をしていた。

最後の最期まで君の一分一秒を…亡くさない様に。

嗚呼、神様…僕から○○を奪わないで。

僕のこの命を捧げても…何でも良い。

彼女が生きる術を…僕に……教えて。」