旅人


4個


1探検家「…この世界の何処かにあるガーデンホールを…一度で良いからこの目で見てみたいんです。

ガーデンホール…それは今の世では化石と化してしまった生物達が、今もありありと生き、活動している空間。

……勿論、人が立ち入った事は無いとされています。

人が入ってしまえば、生き物達の生態系が今に至ってきた様に、ガーデンホールもまた…同じ運命を辿るだけですからね。

……でも、一目だけでも良いのです。

一目だけでも、あの幻の空間を…この目に焼き付けてみたい。……これが私の夢であり、ロマンです!」



2「…僕は、今まで色んな仲間と戦ってきた…。でも、皆、皆僕のせいで死んでいったんだ。

…もういい。もう十分だ。

僕が旅を続けることで、誰かが不幸になるのなら、僕は此所で、今足を止める。」



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3旅人の語り「なー…またお前か?
全く、毎日毎日飽きないねぇ?
そんなに俺の話が好きか?
仕方ないなぁ。じゃあ、少しだけだぞ?
俺は数ヵ月前、とある海にでていた。
その日は酷くカンカン照りで…陸の方ではユラユラと陽炎が揺れていたのを覚えている。
そしたら西のほうにさぁ、でっかい船が見えたんだ。
俺の乗っていた小型ボートなんかじゃあ近寄っても気付かれそうにない様な でっかい船がさ。
今思えば、ありゃー陽炎が見せた幻だったのかとも思えるが…
その時の俺は何故か妙な好奇心が沸いちまってよぉ。
その船に近づいてみようと考えたわけ。
けどどんなにボートを走らせても、その船には たどり着けなかった。
そのうちに俺は意識を失っちまった。
目を覚ましたら浜辺に打ち上げられててな。………そのでっかい船はその後見ること無く俺は新しい街へと歩いた。
よし、話は終わりだ。早く街へ戻ったらどうだ??
ああ。近い内に旅立とうと思う。
大丈夫。会いたければ風が吹く。
俺もお前もまだまだ元気。
いつかまた会えるだろう。
……それじゃあな。達者でな。
…さて、俺も子供に好かれるようになるとは…フフ…ここらも変わったものだな。」


4「旅人ってのは、そんなに気楽に見えるモンかい?
嬢ちゃん。そんなに簡単に故郷を捨てるだぁ言うもんじゃねぇ。
俺みたいな物好きでも、旅ってもんは先の見えねぇ過酷なもんだと思っている。
明日どころか今日これからの事だって、食って寝ての生活だって叶わねぇ時だってある。
そんな人生過ごす覚悟があるのか?
いいや。覚悟があっても実際にそれを身に受ける事が出来るか?
来るなって言ってる訳じゃねぇ。
ついてくるなら勝手にすればいい。
ただ俺はアンタみたいな街育ちが旅人になれるとは到底思えねぇんだ。」

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