8個
301「うっせぇな。メソメソメソメソ…兵士が馬鹿みてぇに泣くんじゃねぇ。
他の軍の奴らもいるんだ。みっともねぇからテメェらは先に戻ってろ。
…お前も行ったらどうだ?……まったく、言うことを聞かねぇ奴は嫌いだ。
………悔しいさ。ドゥードゥの事を言っているんだろう?
あの婆さんは、俺の母親のような存在だったからな。
老いぼれのくせして、よく死に急ぐババアだった。
37年前…ひでぇ火の海の中から俺を救いだしてくれたのがあのババアだった。
”ガキが人生終わったような顔してんじゃないよ”って…よく聞かされた言葉だ。
あれから数十年経ったってんだから、随分時の流れってのは早いもんだよな。
何度も死にかけたし、何度も救われた……。
なぁ?ドゥードゥ?俺はあんたに恩返し出来ただろうか?」
302「あー?何見てんだよ。
男の上裸(じょうら)なんて見て、とんだ変態もいたもんだな。
……ったく、何をそんなビビってんだよ?俺は兵士だぜ?
ガキの頃から此処で働いてんだ、致命傷の1つや2つ、負(お)ってて当たり前なんだよバーァカ。
なんだ、それとも傷1つ無い綺麗な上裸でも期待してたってか?
そりゃー申し訳ねぇな(笑)
…………大丈夫。女にはこんな傷、一生負わせねぇからよ?」
303「…どうして護るのか。でしたっけ?
そんなの、決まっているじゃないですか。
この命に代えてでも生かしたい程、この人は私の大切な人だからです。
…恨(うら)みたいなら恨めば良い。…殺したいのなら殺しにきたらいいんです。
しかし、覚えておいてください。
この人には、私という絶対の盾が存在することを。」
304「勝算しかない。
負けた時、俺は死んでるんだ。
だったら負けた時の事なんか考えない。
勝って帰る?当然だ。敗者に帰る国などないのだから。
敗けても生きて帰れば良いなどと、…そんな甘い考えが戦いに甘さを生む。
戦いになれば、どちらか一方が死ぬまで戦う。それが戦いだ。」
305「黙れ。わんわん吠える犬は嫌いなんだよ。
助けて貰えるなんて思うな。
勝てない奴は要(い)らねぇ。
負けた奴は容赦なく見捨てる。
戦場ってのは、そういう場所だ。
勝利がすべて。
そうでなきゃ命は無い。」
306「ええ?僕と殺(や)り合おうっていうんですか??
嫌じゃありませんよ。
ちょうど暇にも飽きてきた所ですから。
ただ、…ねぇ??
この世に未練とか、残した家族とか。あるんじゃないんですか?
いいんですか?貴方は、死んでも?」
307「何?今、何て言いました?
………一族を侮辱しないでください。
僕は今、虫の居所が悪いんです。
生きていたいなら、謝罪してください。
おっと……早くした方がいい。
僕は3秒しか待ちません。」
308「あ~あ。本当、この街は最悪だ!!
気まってんだろ。良いとこだって言ってたのはどこのどいつだぁ?
あー、隊長か。
だとしても知ったことか!これのどこが良いとこなんだ?
毎日毎日爆弾や、銃弾の嵐。
道端は死体だらけ…食べ物も飲み物も足りたもんじゃねぇ…!
俺に黙ってて欲しけりゃもうちょっとマシな待遇でも考えてみるんだなトロイ。」
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