能力者・バケモノ


56個


1予言者(不幸の予言者:ソロウ)「私の名前は○○(例:ソロウ)。不幸の予言を行う予言者です。

……占い師?フフッ。冗談がお上手ですね。

私達予言者の予言は、占いのような当たるも八卦(はっけ)当たらぬも八卦などといういい加減なモノとは違います。

…予言は、絶対です。

百発百中。そうでなければ予言とは言えない。

私達姉弟(きょうだい)に…予言出来ない幸福も不幸もありません。

それに疑(ぎ)を唱えるのであれば、貴方の不幸を…私が予言して差し上げましょう。」



2予言者(幸福の予言者:ハピネス)「僕の名前は○○(例:ハピネス)。幸福の予言を行う…いわゆる、"予言者"です。

…間違えて欲しく無いのが、僕達は占い師では無いということ。

占いのような、当たるも八卦(はっけ)当たらぬも八卦っていういい加減なモノを求めているなら、今すぐに予言を聞くのを止(や)める事をお勧(すす)めするよ。

……へぇ。それでも聞くんだ?

…じゃあ…予言をしてあげようかな。

……君の"幸福"ってやつを…ね。」



3"コレ"それは力という呪い「…ねぇ。僕の"コレ"が恐ろしい…?

…そんなに震えないでよ。

せっかく、此処まで来てくれたんだからさ。

…君で、三人目。此処へは、人間達は誰も近づかないからね。

……え?森の奥に住む怪物?

…………それは、僕の事だね。

…ああ、そうさ!!僕は怪物だ!今まで此処に来た人間は、全員"コレ"で殺した!!

………でも、違う。違うんだよ。

…信じてよ。"コレ"は、僕の思考に応える事なく暴れる……僕にかけられた…"呪い"なんだよ……。」



4身体獣化能力「ガキ?…フフッおじさん。僕の事、随分舐めている様だね。

僕をただの子供だと思って…。"殺されたいのか!!"なんて…フフッ笑っちゃうね。

おじさんは知らない様だから教えてあげるよ。

僕はレフ・アームガルズ。身体獣化(しんたいじゅうか)能力の能力者さ。

…何さその顔。今更そんな事言ったって無駄さ。

我が左腕よ!唸(うな)る狼と化し、この地を汚す哀れな人間共を滅ぼしたまえ!!

さぁ、歯を食い縛って?覚悟をするんだ。死ぬ覚悟をね。」



5「この力が世界を救うのなら、使う他ありません。

例え、私の存在が消えてなくなってしまうとしても…世界を救うのが優先です。…迷っている間など、もう残されていません。

貴方は、ここから出来る限り離れて下さい。

…!何をしているんですか。もう時間がありません…!側にいては、貴方まで消える事となるのですよ!!

…良いから…もう良いですから!!

貴方には、貴方だけには…!明日を生きていて欲しいんです!!」



6「おや…こんな所に客人とは…何年ぶりの事だろう。いらっしゃい。せっかく来たんだ。どうぞゆっくりしていくと良い。

…能力?嗚呼…

私の能力など…とうの昔に消えたよ。どうしても、守りたい人がいてね。

まぁ、あれで良かったと私は思ってる。

持っているだけでも周りから一目(いちもく)どころか二目(ふたもく)も三目(さんもく)も置かれる能力だ。…恐れられるのには、もう懲り懲り(こりごり)でね。今は普通の人間らしい生活をおくっているよ。

…さぁ、ちょうどカボチャのパイが焼き上がる頃だ。よかったら食べていきなさい。

そして、悪い事は言わないから、食べおわったら帰るんだ。

くれぐれも此処に私がいる事を、他人(ひと)へは言わないでくれ。」



7「化物でも生きていられる世界なら、どんなに幸せだっただろうな。

現実では誰もが飛び抜けた能力者を恐れ、そして排除しようとする。……個人差がある。皆違って皆良いと、誰もがそう言うが、いざ自分とは似つかない生物に出会えば、綺麗言を言っていた人間達は皆、恐れを成すのさ。

…だったら正直に、最初から…僕たちを受け入れる素振りを見せないで欲しい。期待なんかさせないで欲しい。……だって…捨てられる事より、裏切られる事の方が…辛いんだから!」



8変獣:恋「……身の程をわきまえないからだ…!何度も何度も…私から離れろと言ったではないか…!

お前が死んでしまってからでは…もう遅いじゃないか…。

クソ…クソ!!よくも、よくも殺ったな!!私が攻撃される事など、どうだって良かった!!

ただただ、コイツだけは守りたかったんだ…生きていて欲しかったんだ…!!

それを…ッグ……よくもっ!!ああああ!!

ああ、ああ、ああ!!

……ハァ…ハァ…。お前の事を…愛している。哀れなモノだな…今、やっとお前の愛しさに気づくなんて。」



9もう一度人生を生きた人。:善行人間「…ええ。私は一度死にました。しかし、黄泉の国行きのバス停で、私を迎えたのは閻魔(えんま)でも死神でも天使でもなく、一人の堕天使でした。

堕天使は私に言いました。"もう一度生き、そして善行を働くのだ。"と。

……気がつけば部屋のベッドの上。そして、二度目の人生が始まりました。……いえ。善行に縛られた、生き地獄……。

人として、こんなに息苦しい世界は無いですね。」



10Barriers(二重結界:呪われし本を封じ込める者)「…大丈夫。本の力は封印しました。

もう、この本の力が猛威(もうい)を振るう事は無いでしょう。

私が死ぬまでは…ですが。

……っ。大丈夫です。問題ありません。

…っぁああ!!っく………さすが、古代の頃より伝わる呪いの本…といった所ですかね…。

……物凄い…力です…。

封じ込めた後ですら、こんなに暴れるなんて!!

二重結界!!Barriers(バリアス)!!

古代に存在した神々の創りし本よ!その力を!此処に封じたまえ!!」



11「嗚呼…どうか俺を怒らせないでくれ…!!怒らせれば貴様らの命など保証出来はしないのだぞ!!

嗚呼…嗚呼!!汚い野郎共だ…。その娘(こ)は俺の娘(こ)だ…!!今すぐにその娘から離れろ!!

ああああああ!!

仮面を外せ無い訳じゃ無い…ただ人を殺す事が怖くて…恐ろしくて…外すのが怖かっただけだ!!

だが、俺にとて感情がある。

己の大切なモノを守る為なら…その様な仮面、割ってこの身を化かすまでよ!!

っあああああああ!!

シネェエエエエエエ!!」



12傷つけたく無いから「大丈夫…私、独りぼっちでも、痛くないから…寂しくないから…。

だから、私のせいで…貴方が皆から攻撃されるくらいなら…私なんか、置いていって下さいッ…。

お願いだから、お願いですからッ…私のせいで…傷つかないで下さい…。

ほら…また…私、いつ貴方を殺してしまうか、分からないから…。私は平気です…。早く…行って下さい。」



13占い師「あら、いらっしゃい。

おかしいわね。今日は男性のお客様のいらっしゃる予定は無かったのだけれど。

…あぁ。いえ。お気になさらず。水晶は気まぐれですから。たまには占いでは導けない事だってあります。

ところで、今日はどんなご用事で?

…そう。死期占い…ね。

言っておきますが…死期占いは、貴方が貴方自身の死期を知り、死期に影響を及ぼす以前の死期であり…死期を知ってしまったら最後、死期は変わってしまいます。

…あら、疑わしい目をなさるのね?

死期の変化を承知の上でなら、貴方の死期、私が占って差し上げます。

…………水晶さん?私に、彼の死期を…命の尽きるその時を…見せてちょうだい。

………はぁ…。そうね。何かがあるだろうとは思っていたけれど……貴方の死期は…今日…1時間後よ。」



14蝶使い「蝶は舞う。敵に捕まらぬ様、群れを成して舞う。

蝶を弱者と感じますか?

……それでは、貴方に教えて差し上げます。

鋼鉄より生成された如何(いか)なる剣にも劣(おと)らぬ蝶達の強さと、美しさを。」



15透明人間「ねぇ、僕の声、聞こえてる?とどいてない?あ、やっぱり。

聞こえているみたいだね。

…はじめまして。

…と言っても、僕には姿形(すがたかたち)なんてモノは無いから、君は僕を視覚する事は出来ないのだけれど。

…そう。僕はいわゆる透明人間として産まれてしまった。

…いや。存在してしまった物体。

僕とて自分自身の姿を見たことが無いのだから、本当に此処に存在しているのかすら分からない。

…でもね。僕は嬉しかったんだ。

だって、君が僕の声を聴覚してくれたからね。

さて、此処からが本題だが、君よ。まずは名前を教えてはくれないか?

そして、僕とお友達になってほしい。

…あぁ。安心してくれ!

現に僕の意識は此処に存在する。

君の夜な夜な膨らませる嫌らしい妄想の作り出す幻聴などではないからな!

…おっと、一言多かったか。すまん。

ん?おい。何顔を赤らめている?

恥ずかしがる事は無い。

生物として、その嫌らしい妄想はあって当然の必要枠なのだから!!

さぁ、取り敢えず人気(ひとけ)の無い所へ。

さもなければ、群衆から見て君は大声で独り言を言う変人。変態。もしくは不審者に見られかねないからな。

友人として、君がそう思われてしまっては僕も些(いささ)か心が痛い。

あぁ、待ってくれよ。僕は足が遅くてね。

あ、そうか僕には足が無かったね。こりゃ一本取られてしまった。ハッハッハッ!」



16「ねぇ、なんで…ただ少しだけ皆と姿形が違うだけでそんなにも拒絶しなければいけないの…?

僕も、皆も…みんなみんな生きていて…ちゃんと心がある。

それだけじゃ、僕たちはお友だちになれないの…?

ねぇ…お願いだからさ!!

僕のことちゃんと生き物として見てよ!!」



17「研究に研究を重ねて、人が造り出したものとは何か…君たちは知ってる?

力を持ち…心を持たない。

戦う為にはそれが最善策だった。

……心を持たない物体は、自らの目的のためにしか動かない。

制御装置も無く…。慈悲の心も無い。

それはきっと

バケモノでしか無かったんだ。

どうでも良かった。

僕には、どうでも良かったんだ。

誰が死のうと、哭こうと、絶しようと…。僕は何も感じない。

…仕方ないよね。だってそんな僕をヒトが造ったんだから……!」



18バケモノ「クソ…クソ…クソ!!

お前の様な奴がいるから…

感情が俺に"人を殺すな"などと

訴えかけるんだ…!!

頼むからそんな顔で俺を見ないでくれ。

もう俺を止めないでくれ…!

俺は人間が憎い…!

俺を理不尽に攻撃してくる。俺の家族を殺した。人間が憎い…!!

殺したいんだ。全員…誰彼構わず…。皆!!

……こんなにも憎いのに…簡単な事なのに…なぜ俺は殺せない…?」


----✂︎----2019年----✂︎----



19「だぁー。化け物化け物うるせぇんだよ。

俺等が並外れてる?人間の成せる業(わざ)じゃない?

ほざくな雑魚が。

俺等が並外れてんじゃねぇんだよ。てめぇらに成長が無いだけ。進化が無いだけ。

日常を只無駄に貪り、価値の無い毎日を何年、何十年と続けて死ぬ。そんな一生を生きてるから…てめぇらは雑魚になんだよ。

俺等は進化した。

毎日に価値を見いだした。

だから普通にこうして生きられる。てめぇらの様な雑魚とはちげぇんだよ。

何なら…てめぇらの命が無駄にならねぇように、俺が喰らってやろうか??」



20「しょうがないなぁ。

僕がアンタを人間に戻してあげる。

だから金輪際(こんりんざい)僕に逆らわない事。

無駄口きかない事。

分かったら返事!……ククク。良いね。一度でも良いから君に言うことを聞かせたかったんだよね~。

それが、これからはずーっと僕の言いなりかぁ。

良いねぇ。助けてやるくらいの価値はある対価だ。

さてと。で?人間になりたいんだよね?普通の人間にさぁ?(笑)

まずは自分をちゃーんと認める事。アンタは化け物。

どう足掻(あが)いても…取り繕(つくろ)い様の無い化け物なんだ。

それをちゃーんと理解しなけりゃいけない。

ホラ。化け物だって言われただけで、そうやって違う違うって吠えて。

だからアンタは人間になれない。

だからいつまで経っても化け物から卒業出来ないんだ。

これからもそう。君が君を化け物だと認めない限り…君は人間にはなれないんだよ。

ねぇ?言ってごらん?"僕は化け物だ"ってさ。」



21化け物「枯れちゃう…枯れちゃうんだよ。

大切な人だったんだ。僕にとって、かけがえの無い人だった。

僕の全てを理解してくれた。受け入れてくれた。

それなのに、僕の中の怪物は、彼女を殺しちゃった。

この薔薇も…彼女との思い出も…もうすぐ全部枯れてしまう。

僕から全てを奪ったくせに…この怪物はたった一人の大切な人さえ許してくれない。

怪物が誰かを殺すたび…僕の心は朽ちていく。

だからさぁ、もう要らないんだよね。

どうせ全て枯れてしまうなら…手に入れたって枯れてしまうなら…僕は独りぼっちで咲いていたい。」



22糸「ほどけないんだよね。

こんな糸、引きちぎってやろうだとか…ほどいてやろうだとか…今まで何度もそう思ってきたけど…無理だった。

この糸があると、不思議と能力が使えないみたい。

だからもう、良いんだよ。助かろうとも思ってない。

このまま此処で自分の命の火が消える瞬間を待つのも…外の世界で兵器として利用されるよりかは、マシに思えてきた。

戦争は終わらない。人が欲を持つ限りはね。

もっと強く。もっと高みへ。世界全てを支配下に。どこぞの国の国王とやらがそんな事を言ってたな……。

さ、お喋りは終わりだ。…いつまで此処にいるのさ?

僕に戦えと言いにきたのなら…宛を外したね。僕はこの通り…もう能力が使えないんだ。

……もう、放っておいてくれ。死ぬのを待つばかりの元能力者なんて、相手にしてる暇ねぇだろ。」



23「あぁ、確かに俺には別の顔がある。

今までその顔は…深くに眠らせておこう。隠しておこうと必死だった。

大切な人を失うのが怖かったから。俺自身の力があれば皆を守れると思っていたから……。

だが違った。何も守れなかった。ただただ俺は無力だったんだ!!

…笑うなら笑え。貶すなら貶せ。見下したいなら見下せば良い!!

それでもただ…俺は己の守るべきモノを守るだけだ」



24ハサミ「私の背中にはいつもハサミの化け物がいるの。

だから皆は私に近づかない。

私に触れようとすると切り裂かれるから。皆それが分かっているから…。

ねぇお兄さん。お兄さんはさっきから…私を助けるだとか、もう大丈夫だとか言うけど…。

余計なお世話なんだよね。

私にはね、このコさえ居てくれれば良いの。

このコは私を裏切らない。いつだって私を守ってくれる。

このコだけが私の友達…私の家族なの。

このコがいるってだけで私を避ける友達だなんて要らない。本当の友達じゃないから。

だからお兄さん…。お兄さんも要らない。何処か行って?

じゃなきゃ私のハサミで、お兄さんを切り裂くから。

そうしたらねぇ?私もこのコと一緒だもん。」



25「なんでだ。…オレは、ずっと信じてきた。お前は、お前だけはナカマだと信じてきた!!

なのに、なんで…。

嘘だ…お前は、金等に踊らされる様な人間じゃあ無いはずだ!!

ッあ、あああ!!ああああ!!

馬鹿な…アデムッ!!お前…。

ああ…これは、現実なのか…。

アデム…お前の笑顔は、言葉は、嘘だったというのか、…。

オレは、屈しない。化け物には、化け物なりに心があるということを…忘れるな」



26「ふーん。中々言うじゃない。私のコレが、身勝手だって言うんだ??

でもさぁ?貴方はこんな身勝手な私が好きなんだよね。こんな身勝手な私を、守ってくれるんだよね??

私を守る為になら、死ねるんだよね??

あは、あはははは!!

私ね、血が欲しいんだぁ。

こんな姿になってしまって、こんな種になってしまって!!私、すっかりヒトの血を失ったの。

だから、ねぇ?

私を人間とするために貴方のその血をちょうだい。」



27ハサミ「ウフフ…ゾクゾクしちゃうでしょう?

生きている動物を少しずつ…だけど確実に切り刻んでいく感覚…。

これが…私の求めていた感覚なの。

このコと私が、初めて重なれた。このコが感じていた感覚を、今…私も感じてる!!

ウフ、ウフフフ。気持ちいいわ。もっと…この感覚に満たされたい。ねぇ?良いでしょ?」



28ハサミ「幸せ…私は幸せだよ!?なんで、なんで不幸だなんて言うの!?

私は…このコとやっと重なれて…やっと一緒になれて!!!

とっても幸せだもん!!!

なのに、……なんでぇ……!

なんでっ…こんなに涙が出るのっ…!?

可笑しい…こんなの可笑しいよ!!

あ、あああ、…違う…違う違う違う!!!私はもっと!!もっとこうしていたいの!!もっと切るの!!

このコがそうした様に…私も!!」



29半分の能力「ねぇ?迷ってるの??ピザと、パスタ。

っフフ…そんなに迷ってるなら、半分コにしちゃえば良いんだよ。ピザもパスタも。半分ずつ全部を選べば、迷う事なんか無いんだもんね??

ッフフフ!!

ほら、半分コ。ぜーんぶ半分コ。

これで欲しいもの全部食べれるよ。

お兄さんも…ほら…半分コ♪」



30「あら、似合っているわ。ほんとよ?食べちゃいたいくらい愛らしく、傷つけてしまいたくなるくらいに美しいわ。

ねぇ?貴女は私のコ…私の可愛い使い魔じゃない?

私がこの世で一番である為に…此処で死んでくれないかしら。

………ンフフ…ンフフフフ…!そう…そうよ。私以上に愛らしく、美しい存在なんて要らないの。

そんな事は当然じゃない?

例え私の可愛い使い魔であろうとね。

はぁ…痛いわ。それでも何故か心地良い。…こんな快楽…一度覚えてしまったら辞められないわよね?」



31「昔の事は昔の事だ。

"才能"なんていうイカれた能力のおかげで、この通り…今じゃあ俺も立派な化け物さ。

なぁに…取って食おうなんざ野蛮な事は考えねぇさ。

ただ…お前らが壊れないうちに…俺の事は忘れてくれ。」



-----✂︎----2020----✂︎-----

32バケモノの反乱「あ?ダラダラ文句垂れてんじゃねぇよ。

こっちはずっと長い間、アンタら人間に虐(しいた)げられてきてんだよ。

鎖に繋いで、利用できるトコまで利用されたら殺処分…。

人間ってなんだ?神にでもなったつもりか。

人間は何も間違わねぇのか?

人外(じんがい)は必ずしも害なのか?

笑わせるな。

俺は生まれてこの方地下で働かされてきたからよぉ…。

これが俺等の一生なんだと思っていた。

誰かの為に生きる事なんだって、この生活を誇りにすら思っていた。

でもよぉ、地上ってのは心地良いトコなんだな。暖かい…空気が流れてる。

俺等の居場所って、此処なんだって そう感じたよ。

人間が教えてくれたんだ。

強いモノだけが希望する道へ進めるんだってな。

だから、俺等が勝って この光の下で暮らすんだ。

邪魔をするなら、戦うだけ。

抗いたいなら抗えば良い。

話し合いには応じない。

進みたいなら敵は蹴落とすしかないんだから。」



33「きっと、君達にとって化け物な僕は…此処にいてはいけないんだ。普通に生きてはいけないんだ。食事も、息を吸うことも、何かを好きになることも、お気に入りの場所で眠ることも、ただその辺を歩くことも…!

何もかも、君達から見て化け物である僕はしてはいけない。

………理不尽だろうがなんだろうが…どうせこの世界の支配者は君達で…そうでない僕達は単なる食肉か、それとも脅威か。

………いいんだ。もういいんだ。

それでも、此処は僕の居場所だから…!」



34「もう、傷つくのは嫌なんですよ…。

嫌なら嫌って…怖いなら怖いって、最初からそう言えば良いじゃないですか。

僕が貴女を好きになってから離れていくなんて…そんなのもうあんまりだ…!!」



35「怖いなら逃げれば良い。僕はただ生きているだけ。

君達にとやかく言われる筋合いなんて無い。

ねぇ??傲慢すぎる生物って、世界に一番不要な種族だってこと知ってた??」



36恋したバケモノ「だめだよ〇〇。

僕に着いてきちゃいけない。

今回は本当に…戻れなくなる。

僕は〇〇を愛してるよ。

ずっと側にいたい。側にいて、僕が君を守っていく未来を ずっと夢見ていた。

だけどさ。世界はどう足掻いても…優しくないモノで夢なんてものは簡単に壊れて。

少しの希望も儚く散る。

〇〇…どうか泣かないで欲しい。

愛する人を愛するからこそ僕は一人で逝く決心ができた。

こんな身体も…悪く無いものだよ?だって、僕が君を守る事が出来るんだから。

バケモノだよ。僕はバケモノだ。

、バケモノとして出来る方法で僕は愛する人を守るんだ。」



37「どうして僕に構う?僕は化け物なのだ。

生きモノは全て僕に触れる事は許されない。

動物はその身を滅ぼし、植物は直ぐに枯れ果てる。

指の先一つ触れるだけで、その様な事は容易く(たやすく)敵う(かなう)。

僕はそう。鎌(かま)を奪われた死神なのかもしれない。 

故に貴様に情をかけられようが、僕にはそれに応える術(すべ)が無い。

僕に構うな。僕は貴様が思う程優しい存在じゃない。」



38「怖い、怖いんだよ。

震えが止まらない。この手が、足が、身体が信じられない。自分自身の思考すら…

この力が次 いつ どんな風に暴走しだすのか…。

最強とか、最高の能力なんて要らない。

僕は平凡でいたい。 

いい加減…普通の人みたいに、普通に道を歩いて、普通に学校通って、普通に寝て、普通に生きてみたいんだよ。

どうして僕には叶わない?

たったそれだけの事なのに。

全部全部、こんなバケモノのせいじゃかいか!!!」



39本当は弱虫「ああ。僕達"能力者"は いつだって、英雄だの ヒーローだの言われ続けてきた。

けど僕達だって、産まれた時 物心がついた時…普通の人間として生活してた。

自分が能力者だと気づくまではね。皆と同じように怪物が恐ろしかったんだ。

でもどうだい?能力者だと気づいた時から世間からの目線はガラリと変わる。

皆の命を守る英雄だって持ち上げられる。

そんな状況で言えるか…?"本当は怖いです"なんて。

ははは、怖いさ。怖いさ!!!

急に"能力がある"なんて言われて期待されて…そんな僕が急に英雄にだなんてなれる訳が無いだろ!?

死にたくない、死にたくないないよ!!

誰か助けて!!!」



40「あーもうキツイなぁー。

全部僕の責任ですかぁー?

全くほんと、人使いの荒い人達だなぁ。

まぁ良いや。

ねぇ君達ぃ。面倒くさいからあんまり暴れないでよ。

能力使うと、疲れちゃうじゃないか。」



41「能力者?そう、私は能力者。

間違い無いわ?でも、少し可笑(おか)しいと思わない? 

だって、"能力"なんて皆何かしら…生まれ持っているモノじゃない?

それなのにただ目立つ能力を振り回しているだけに過ぎない私達だけを"能力者"等と呼んで。

そんなの間違っているとしか言いようが無い。

そもそも、"能力者"なんて差別がいつどの様に生まれたのか…。

はぁ、好(この)ましく無いわ?全然好ましく無い。

もうめんどくさいから、アンタ達の大好きなこの能力で…アンタ達全員まとめて片付けてあげる。」



42「面(めん)は僕に“自分”をくれる。

僕に色なんてモノは無くて

この面達が僕に色をつけてくれる。

小尉(こじょう)、恵比寿(えびす)、般若(はんにゃ)に童子(どうじ)。

どの面もそれぞれに色が違って、それぞれに僕を造ってくれる。

ねぇ?僕は君のその面も好きだなぁ。

その面、僕にくれないかなぁ?」

解釈のヒント:君のその面(相手の顔のこと)



43消失した能力「とっくに分かってた。
僕は利用されているだけだってずっと、ずっと前から分かっていたはずだった。
だけど、僕は信じたかった。
僕に見せてくれている”優しさ”が彼の本当だって信じたかった。
だけど日に日に消え失せていく力…豹変(ひょうへん)する彼の態度…僕は、僕自身に言い訳しきれなくなって結局こうやって僕は捨てられた。
あは、あはは、あは!!ねぇ、嗤(わら)ってよ。
こんな惨(みじ)めな僕を、皆嗤ってくれよ!!
誰も僕の側にいてくれない…唯一無二の存在であった彼でさえ裏切り者だった!!
ただのヒトとなった僕には、存在する価値すら…無いとでも言うのか…?」


44自らを嫌うバケモノ「ミルナ!!ミルナミルナ…!
ワタシは…ただの醜いバケモノだ。
恐い、恐い、恐い。
ワタシに向けられた視線全てが恐いんだ……!
良い。ワタシ等放(ほう)ってくれていれば良い。
醜い体、鋭い牙や爪、大きな手足、この恐ろしい声…全てが…全てが存在しなければ…どんなに、どんなに神に感謝していた事だろう?
ああ、あああ、ああああ、ああ…いっそ、この身など滅びてしまえば良いのに。」


45「ああ。知っているさ。
村でバケモノだって噂されてることは、とうの昔に知ってた。
だけどねレミル?それでも僕は君がいるから奴らに牙を剥くことをやめたんだ。
何でって…。
それはね?レミル。君と過ごすこの年月が僕は無性に大好きだからさ。」

✄------------2021------------✄

46普通を望んだ「"ボクは怪物"そんな事は知っている。
だって、小さい頃からそう言われてきたから。
背中には4本もの翼が生えていて、額(ひたい)には小さなツノがあって、そしてボクの瞳は紅色(くれないいろ)だった。
"コイツは怪物だ。"誰もが、ボクを見るなりに吐いていった言葉。
でもさ、ボクは、ボクだって。
普通のヒトとして、生きたかったよ。」


47「"時など止まってしまえ!!!"
何度…何度そう願い、念じた事だろう?
…時とは残酷なモノだ。どんなに辛かろうが、どんなに苦しかろうが、待って欲しいと願おうが…それは規則正しく流れていく。
だが、僕は違う。
その規則に切り込みを入れ、そして止め、狂わせる。
ククク…アハハハハ!!貴様には分からないか?これがどんなに優(すぐ)れ、絶望的な能力か。
…ならば、味合わせてやろう。
だが貴様は、後悔することになるだろう。
狂った時間は、時としてその身を滅ぼすのだから。」


48「えんらい煩(うるさ)いやっちゃな。
そんなに能力に飢(う)えとるんなら、
ワシの能力を見せたるわ。
ワシは水を操(あやつ)る能力者〇〇。
あんまり熱くなると、ワシの水をかけたる他しゃあないな?」


49「知らなかったですか?
こういった特殊な能力も存在するという事。
僕の身体は自由自在(じゆうじざい)。
どんなにバラバラになろうがチリジリになろうが容易(たやす)く再生することができる。
つまり。切断の能力者…君の能力では僕は殺せない。」


50「なん??
あー。見た目ねぇ。
あんまり、見た目で決めつけない方が良いよ?
だって、私の能力は人の身体を乗っ取る寄生の能力。
”見た目”なんて奪ったものでしか無いんだから」


51「ワシには大蛇(だいじゃ)を呼ぶ力があってのう。
奴らは少々凶暴(きょうぼう)でな。いざという時にしか使わぬのだが
仲間の危機とあっては致し方あるまい?
…ワシは案外仲間思いでな。
貴様が悪いのだ。
死んだとて文句を言うんじゃ無いぞ?」


52「強烈な爆音。キーキーと煩(うるさ)い機械音。そよぐ風の音。すべての音は無へとかえる。
発する言葉ですらその力の前では無意味。
…無音。それは僕の操る空間であり、縄張り。
君達はもうすでに、僕の支配下にある。」


53生かす能力「……。
これ以上、さ。
苦しめさせるなんて、嫌だったんだよ。
僕の能力を使えばさ、そりゃあ…何年だって、何十年だって生かすことができるけど…。
〇〇の目はもう、死にたいって言ってた。もう、いい加減死なせてくれって…叫んでた。
僕にはもう無理なんだよ。
生き地獄を味合わせ続けるなんて、そんなことさ…。」


✄- - - - - - 2022 - - - - - ✄


54常世と現世の声渡し「よぉ、兄ちゃん。
アンタかぃ?"黄泉の国の者と話がしたい"だぁ抜かす野郎は。
なんだ?その顔。
"こんなチャラチャラした野郎が、そんな大技(おおわざ、たいぎ)をこなせるのか?"なぁんて、今にも言い出しそうな顔だな。
いいか?能力っつうもんはな、見掛けじゃあねぇんだ。
そこらの詐欺師どもとは訳がちげぇ。
黄泉國(よもつくに)の奴等は現世(うつしよ)の住民の常識なんざぁ受け入れちゃくれねぇ。
なにか、業(ごう)を成(な)すなら、それに見合う対価(たいか)が必要だ。
例えば、その心臓とか?
………まぁ、何にせよ…この俺を頼ってきたんだ。
それ相応の覚悟を持ってきたんだろうな?
…よし、それじゃあ無駄話は終わりだ。
お前は誰と話したい?強く思うんだ。
そして語りかけろ。
そこ声に芯(しん)があれば、必ず応(こた)えてくれる。」


55時を操る能力"唯一の犠牲者"「っ…あ、ああ…はぁ。
…ううん、大丈夫。少しだけ、能力を使いすぎたみたいだ。
今回の戦いは…とても大変だった。皆、ギリギリの体力で戦い抜いた。だから勝てたんだ。
誰一人欠けても、成し得なかった勝利だ。
……私は幸せ者だ。
時を操る能力というモノは、厄介(やっかい)なモノだとばかり思っていたが、
この戦いが、私に…私の能力の価値というモノを教えてくれた。
死ばかりを望んでいた私が、この戦いでのみは、自らを護り、生きていなければならないと感じたんだ。
けれど、う"…。世界は、そんなに優しくはない様だ。生きていたいと望む者程死んでいく…。
私の見た敗北の未来は、とても悲惨なものだった。
それがこんなに変わったんだ。
何人の命が、救えたか。
やった、やったぞ!!皆!!あは、あはは、あはははは!!
グフッ(吐血)……はは、は、…っ。は、はぁ、はぁ、……はぁ…
"運命に抗う罪"を、償えという事だろう…?
なぁ、…クロノス…。」


56「傷跡くらい、メイクを施(ほどこ)せばいくらだって隠(かく)せるわ。
バケモノだと呼ばれ続けた私だけれど、見た目さえ作ってしまえば何とでもなるものよ。
恐ろしいわよね?
人って、最初に見たその物の見た目を本質だと信じきってしまうのだから。」